2009年05月22日

Public Health 200D - Putting theory into Practice

2年の春学期(ほとんどの人にとっての最終学期には)、バークレーのPublic Healthの修士の学生は、200Dという授業をとることが義務付けられています。この200Dという授業はいわば総合演習みたいな形で、グループを組んでプロジェクトを行うというものです。

この授業が他のPublic Healthの授業と決定的に違うところは、専攻にかかわらずグループがあてがわれるというところに尽きます。School of Public Healthには、さまざまな専攻があり、私がいるのは医療経営・政策専攻ですが、このほかにも、感染症専攻だとか、栄養学専攻であるとか、医療統計専攻であるとか、公衆環境衛生だとか、地域医療専攻であるとか、疫学専攻であったり、予防医療であったり、はてまたお医者さんのためのコースであったりと、Public Health(公衆衛生)という広い概念から考えられるように違った志向を持った人が集まっています。多くの場合、自分の専攻にあった授業をとるため、他の選考の人と授業をとることは多くはないのですが、この授業に関しては、専攻にかかわらず、グループを組むことになります。

私のグループは、栄養学専攻の人、医者の人、疫学医療統計専攻の人2人とわたしという5人でオークランドの豊かとはいえないエリアにおいて、どのように野菜・果物などの”フレッシュフード”を広めていくありかたについての分析というプロジェクトを行いました。

Public Healthの人のいいところは、バックグラウンドや専門性が異なっていても、基本的に社会や地域をよくしようという志がつよいこと、そして、専門性が異なるがゆえに、みなが「へー」と思うことがとても多いということです。たとえば、私達のグループの場合、医者の人は、当然のことながらフレッシュフードが欠如することによる疾患や医療全般に関して圧倒的に詳しく、栄養学の人は、どのように他の地域でフレッシュフードを(無償・有償)で提供しているかなどについて詳しかったり、また、私がビジネススクールでやっていることの一部は、(たとえばどうやって持続的に資金が回るようにするかとか、どのように対象者を絞り、その人たちに有効に情報を伝え、よりフレッシュフードに接する機会を増やすか)といったところは、Public Healthの領域であったりなどなど、各人みなが専門性を発揮しながら、地域をよくするという意味合いで協調して補完しながら、仕事をしていけたところがよかったです。これからも違った道にみな進むので、いろいろまた話が聞けたらなあと思います。ビジネススクールとSchool of Public Healthは違った人の集まりで違った経験ができる場だと思います。ビジネススクールに行くだけでは出会えない人たちに出会えるのがDual Degreeのいいところです。

もうひとつこの授業でよかったところは、オークランドのそういった地域にチームメンバーが足を運び自分達の目で状況をみていろいろなことを感じたり、そういったサービスをしている人のところにインタビューをしに行ったところだと思います。正直、このエリアは、隣の市バークレーに住んでいても、行く必要がなければいかなくていいエリアです。でもそういったところで何が起こっていているのかを知ってアメリカ社会の一面を実感することは、大切なことなのかもしれないと思っています。現場を見ずして、状況は良くできないと思うので。
posted by は at 01:54| サンフランシスコ ☀| Comment(4) | 授業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
以前一度コメントした者ですが、HNを忘れてしまいましたorz

すごく面白そうな授業で羨ましいです。
自分は生物学専攻の学部生ですが、他分野の人と知識をシェアする機会がなかなかなくて悲しいです。
Medical Sociologyの授業で社会学専攻の人とケーススタディをやったときは楽しかったなあ。

SF周辺はアメリカでも食べ物に敏感な地域という印象があるけど、実際はどうなんでしょう?
南部の人間としてはスーパーの綺麗さだけでビックリした記憶があります。

あ、そういえばうちの大学でもfarmer's marketやってる・・・フレッシュフードも理由の一つだろうか。
Posted by ravenclaw at 2009年05月22日 09:55
ravenclawさん

ご丁寧にコメントありがとうございます。

生物学専攻でらっしゃるんですね。きっといろいろなことをご存知なことと思います。ravenclawさんがおっしゃるとおり、違う専攻の人と考えなどをシェアするのは、面白いと私も思います。知識という面だけでなくものの見方の違いとかを知るのがとてもためになります。

南部と比較できるかはわからないですが、総じて、このエリアは食べ物に敏感であるといわれています。Organic Foodとかも、比較的安価で種類も豊富に手に入ります。比較的Farmer's Marketも多いほうだと思います。ファストフード食べている人は、あまりみかけないかもしれません。

かといって、この地域すべてでそうかというとそうでもないので、やはりエリアごとに住んでる人も違えば、価値観も食生活も違うというのが実態な気がします。

また、何かあったらいろいろ聞いて、そして教えてください。
Posted by は at 2009年05月22日 12:12
初めまして。
精神科医で、この秋からLondon School of Hygiene and Tropical Medicine MSc Public Healthへ進学するものです。
同様の専攻の方がおられて、大変嬉しいです。
様々な人が知恵をしぼりあって世界をよくするという方向性とのことで、自分のコースも同様であることを希望しながら、読みました。
今後ともよろしく御願いいたします。
Posted by Dr.CItyAngel at 2009年05月27日 14:27
Dr. CItyAngelさん

ご丁寧にありがとうございます。

精神科医でいらっしゃるんですね。医師としての経験をお持ちでしたら、素晴らしい経験、積み上げをロンドンでもなされることと思います。

医師ではない私ではありますが、バークレーでの経験はとても学びが多く、視野の広がる経験をさせてもらっています。ありがたいことだと思います。せっかくの経験なので、それを活かして社会に貢献できたらと僭越ながら思っています。

また今後、ロンドンでの経験や感じたことなどを教えていただければ幸いです。同じ分野について学ぶ者同士、情報交換などさせていただければ幸いです。

今後ともよろしくお願いします。
Posted by は at 2009年05月28日 13:33
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