2009年05月03日

Grader (Reader)

今学期は(そして来学期もですが)私は、グレーダーとして学校に採用されていて働いています。グレーダーとは(うちの学校ではReaderというのですが)、単純にいうと「採点官」のことです。

私が担当している、マーケティング関連のコースでは、ただ採点官といっても、4択で○、×があってというのをやっていくわけではなく、ペーパーを読んで、そのペーパーを自分なりに、何がよい、何がよりよくできると、授業の内容に、自分の知識や過去の経験などを踏まえながら、評価・分析をして、先生と話をしてアドバイスをもらい、最終的に採点をして、生徒に成績とフィードバックを返すというものです。

これが思った以上に勉強になるので、びっくりしました。まず、その一つ一つのペーパーがよくできたものであることです。今回はEvening Weekend MBAの授業でWeb2.0関連のマーケティング戦略、実行プランなどに関するものをみているのですが、特にEvening Weekendコースということもあり、私より社会人経験が長い人が多く、特に双方向コミュニケーション関連のマーケティングになると、私よりその分野における知識が深い人も多く、当然のことながらペーパーも練られたものになって仕上がってきます。

これをまず熟読(しっかり読まないとせっかく時間をかけて書いた人に失礼だし)して、さらに自分の知識が十分確かではない部分については、自分なりにしっかりリサーチをして、マーケティング戦略や実行プランの有効性、実行可能性などを検証します。加えて、自分が携わってきた従来的な消費者マーケティングを考えるときのものの見方、考え方(そういう意味で前の会社での勉強、経験は本当に有意義だったなあと思っています)を踏まえながらフィードバックとグレードを返すのですが、当然のことながら、わかりやすく、しかも次よりよいプランがかけるような形での建設的なフィードバックをかえす必要があるわけです。

この過程が勉強そのものです。ペーパーを何本も読んでいき、どういったフィードバックをするかを考えていくととても勉強になります。いいものの中から、本当によく練られているものと、練られているがもう一歩というレベルのものは何が違うのか、そういったことを考えて文章にして伝えることから、いろいろなことを学ぶことができたような気がしています。他の人のアウトプットをいろいろみて、それをみて真剣に考えることから学ぶことは本当に大きいです。

途中で先生にいろいろアドバイスをいただいたりするのですが、当然のことながら先生におんぶに抱っこでは、雇われている意味がなくなってしまうので、自分で質の高いものを出さなければいけないわけです。もちろん人の成績がかかっていることもあり、一切手は抜けません。そういう意味で真剣勝負なのです。

今学期私を雇っていただいたAndreas Weigend教授はとても学生や私のような人の面倒をみてくれるいい先生だと思いました。何度か食事やお茶をしながら1:1ミーティングをさせていただきましたが、専門の分野の実際のビジネスプロフェッショナルとしての経験に基づく知識はもちろんのこと、とても丁寧に人の話を聞き、学生の視点としてアドバイスを求め、そしてよい授業をしていこうという意欲を感じました。そういった意欲のある人と働くことができたことはとてもいい経験だったと思います。

確かにグレーダーはお金をいただくことができるのですが、お金以上にすばらしい勉強・経験ができたと思います。来学期も似たような経験ができればとてもいいなあと思っています。

posted by は at 14:50| サンフランシスコ ☁| Comment(2) | 学校 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
MBAのコースをとっていらっしゃると、
そういったお仕事もあるのですね。
記事、とても面白く拝読しました!

またお邪魔させていただきます。
Posted by C at 2009年08月04日 15:11
Cさま
こんにちは。
ご丁寧にありがとうございます。

大変ですが、やりがいのある仕事で、なによりとても勉強になりました。

個人的な感想ですが、授業の内容も確かに有意義ではあるのですが、それと同じくらいに学内外に色々な「学び」の機会があって、そういったことに積極的に参加していったり挑戦することで、吸収することが多いというように感じています。
Posted by は at 2009年08月05日 05:17
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