バークレーの最後の授業を受けて、はや3週間近くになります。アメリカを出国する日もだいぶ近づいてきました。いまだに実感があるようでないですが複雑な気持ちでいっぱいです。
バークレーでいろいろなことを感じたり、学んだりしてきました。あくまで個人的な意見になりますが、そんな中で、私が強く感じたことは、一番の学びは、結局「人間力」だということ。まあ、当たり前といえば当たり前ではあるのですが。
幸いにして、この期間、「すばらしい肩書き」の人に学校、それ以外も含めて本当に多くお会いさせていただきました。どんなに知識が豊富でも、どんなにすごいことに関わっていようとも、どんなにかっこいい会社での経験があろうとも、どんな学歴があろうとも、はたまた、どんなに稼いでいようとも、人間としての魅力にかける人、人間として(私にとって)共感できない割に必要以上に声が大きい人(私もだいぶ偏屈なので、私の問題かもしれませんが)に出会うことで、すこしさびしい思いをしたこともありました。そしてもちろん、その逆も多くありました。学歴がどうであれ、職歴がどうであれ、社会的ステータスがどうであれ、どんな背景をもっていようとも、自分なりに志を持って、こつこつ目標に向っている人は人間として素敵ですし、人間的に魅力がある人には、尊敬できます。そういう人は、口に出す、出さないは別にしてでもいろんなことを考えていると感じました。
ビジネススクールでは、「見極める」経験を多くのところでします。たとえば財務データを見てとか、ビジネスプランをみてとか、マーケティング施策を見てとか。そういった経験から勉強できることもとても多いと思いました。でも、やっぱり最終的には一人一人の人間からどういったものを感じ取ることができるかということがとても重要だと思いました。ビジネスにしても人がするわけですから。当然「尊敬・共感できる人、そうでない人」というのは自分なりのレンズですから、正しいとか正しくないは一切ないでしょう(とくに私はだいぶ変わった人間の部類だと思うので)。いろいろな人と出会い、「人となり」を自分の眼で見て、自分なりに感じ取る経験が多くできたこと、これは本当にすばらしいかったと思います。MBAだけではなくMPHの勉強をしたことで、出会う人の幅が広がったこと、とくに「社会問題」へ向けて、「金儲け」を度外視して、真剣に考えて、工夫して頑張っている人に多く出会い、そういった人からいい刺激を受けたことは決して忘れないと思います。
感受性を高めるということは、大切だと思う反面、とても難しいことだと思います。とりわけ日本人以外の人から感じるためには、その人たちがどういった習慣的背景からものを言っているのか、なぜそういった意思決定アプローチをとるのか、そういった表現のしかたをするのかなどを、理解する必要があったように感じました。これは、とても勉強になることでした。違う文化で育ち、違う経験をしてきているわけですから、メールで打つような「文字」にすれば一見同じものでも、その意味合いが違うことが多くあり、相手の眼を見て腹をわって口を開いて深い話をすることを通じて人となりを感じ取ることを繰り返すということは、とてもいい勉強、経験になった気がします。
それに繋がってくる話かもしれませんが、日本を離れて(アメリカ・デンマークで学んだり働いたりした中で)、日本人とは、あるいは日本で育ってきたことの意味合いについて考え、学ぶことも多くありました。どの文化にもそれぞれ素晴しいものがある中で、日本にも本当にいい意味で長く深い歴史、そしてそういった歴史的な背景に基づく文化・価値観その他、世界に誇れる独特でかつ、すばらしいものがあると強く感じることが多くありました。文化的な背景が物事に与える影響は、思っている以上にはるか大きいと思いました。日本人として日本文化の中で育っているからこそ、良くも悪くも、こう行動する、こう考えるということ、もしそういったものがあるならば、そういったものを大切にして、こちらで学んだことを活かしながら、「温故知新」ではないですが、すこしでも違う世界のものを理解し、良いように取り入れていくことができればなあと思います。現段階でのグローバライゼーションはひとつのツール、枠組み、ルールが世界に広がる段階ことが中心かもしれないですが、長い眼で見れば、それぞれの固有の文化、思想、価値観の特徴、繊細な差異というものが、グローバライゼーションのツール(たとえばITとかもそうでしょうが)を活かして、いい意味で飛躍することがもっと多くなってくるといいなあと思ったりしています。そして、そのためには自分たち自身について、そしてそれ以外の世界について、自分の眼で見て、耳で、心で聞き、考えることがとても大切だと思いました。ビジネスにおいても同じことなのかもしれないと(僭越ではありますが)感じたりしました。
"The dream of yesterday is the hope of today and the reality of tomorrow"という諺はとても素敵なものだと思います。自分が頑張ることは大河における一滴、あるいはそれよりきっと小さいものかもしれません。そうであっても、自分にできる範囲で、自分の勉強してきたことに自分のこれまでのプロフェッショナルとしての経験を掛け合わせて、諺のように少しでもよい社会になることに貢献できればいいなあと思っています。
私はありがたいことに、そして幸運なことに、海外で勉強する機会を持つことができました。そしてさまざま経験をバークレーでさせてもらいました。たまたま私はここにいますが、その裏にはいろいろな人の多くの協力、サポートがあったわけです。言葉じりで「感謝」とかいうのよりも、はるかに深いレベルでありがたく思いますし、少しでも恩返しができたらなあと(偉そうではあるのですが)思ったりしています。
自分の眼で見て、心で感じて、時代に惑わされずに、自分の信じるものを大切に一歩一歩、地に足をつけて進んでいけたらなあと思います。卒業後、たくさん苦労もあるでしょうが、日々の生活にありがとうの気持ちを持って、少しでも頑張っていこうと思います。
メールを時におりくれたり、日本に一時帰国したときに遊んでくれたり、わざわざカリフォルニアまできてくれた友達の皆さん(どれも、本当に本当に本当にうれしいものです)、ありがとうの気持ちでいっぱいです。テストと重なって結婚式にいけなかったりした友達も何人かいて、申し訳なかったなあと思ったりしています。
そして家族のサポート。異国の地である意味にいる私たちにとって、いつでも本当にありがたかったです。
そして、読者の皆様。大して面白くもない、たいがい文字ばかりの文章(しかも文章もぜんぜん巧くない)をわざわざよんでくださってありがとうございました。コメントまでくださってとてもうれしかったです。PCの文字でうまく伝えることはとても難しいと思うことが多く、うまく自分が経験してきたこと、感じ取ったことを「文字」という媒体で伝えることができたかは自信がありません。でもなんらかのお役に立てていれば幸いです。
アプリカントの皆さんには、このブログが何らかの助けになっていれば幸いです。私のように偏屈な変わった人もいますが、UC Berkeleyは、Haasにせよ、School of Public Healthにせよ、もちろんその組み合わせであるMBA/MPHプログラムにせよ、自分の努力しだいで、とてもいい刺激のある、いい経験のできる場所だと思います。そして、いろいろなことを考えたり、感じ取れたり、前に進むエネルギーを養ったりできるところだと感じました。いい学校だと思いました。そういった一端を私の拙い文章から感じ取っていただければ幸甚です。
ありがとうございました。