年末から年明けにかけて振る雨が今年はほとんどふらず、早速水不足が心配されていたのですが、数日雨が降ることで(一回ふりだすと数日雨かくもりという感じ)、すこしは状況がよくなるといいなあとおもっています。
さて、先学期とった授業のいくつかを紹介したいと思います。そのひとつがQuality of Care(医療の質)というテーマについてのIndependent Studyです。Independent Studyとは何かというと、教授と生徒がテーマを決めて基本1:1で(あるいはグループで)授業をし、単位をもらうというものです。テーマは基本的に授業にないもので、生徒がどうしても勉強であったり、分析であったりしたいと思うものといったところでしょうか。ビジネススクールであれば、ビジネスプラン作成とか、無給の企業や非営利団体へのコンサルティングとかを単位にしてもらうひとがいたように思います。
私はヘルスケアマネジメントを学んでいて、医療機関に対するコンサルティングの経験が有るとはいえ、お医者さんなわけでもないわけですから、医療の質にたいする考え方を一歩掘り下げて持っていることは、今後この業界に対して深くかかわっていく上で、重要であるとおもったわけです。
本来は、School of Public HealthにはQuality of Careという授業はあるのですが、それがあいにく去年の秋はキャンセルされてしまい、学部に、でもどうしても医療の質について勉強したいからIndependent Studyで授業をさせてくれ!と頼んで、Independent Studyとして授業をしてもらうことになりました。
具体的には、
・School of Public Health(私はSchool of Public Healthの学生でもあるので)から2単位もらって
・そもそも医療の「質」とは何か、それをどのようにはかるか、計数管理するか、また、その質を上げていく手法と、それぞれのその良し悪し、そして実際にそれらを各事業体(公や、病院、診療所など)が協力して施策する上での障壁や、質向上施策を導入する際の成功事例、失敗事例とその要因などについて
・論文を読み(2単位でこんなに?5単位分くらいなんですが・・・と思いました)、まとめ、批評し、それを基に先生と1:1で議論をし
・そして小さな(作業量は多かったですが)プロジェクトをひとつやりました。
それを通じて思ったことを2つほど
1.Independent Studyはとても良い制度です:学びたいこととテーマががっちり合うし、先生との時間をじっくり持てる
上記の通り、私は医療における経営について学んでおり、卒業後は、学んだことをつかってほんの少しでも社会に貢献できればと思っています。なので、将来このテーマについての知識が役に立ちますかといったら、必ずそうだと答えると思いますし、学んだことを活かせそうですか、といったらまあ間違いなくそうなんだろうとおもいます。
なので、先生とのがっつりとした議論とかの後とかにも「ああ、こういう考え方はこういうときにしたらいいかも」とか、いろんなものが「わいてくる感じ」がして、とてもよかったです。会話や議論がどんどんどんどん深まっていく感じは、なかなか10人以上の教室では味わえないので(その分色々な視点について聞くことができますが)、そういった意味でも、とくにこの「質」というテーマではとてもよかったと思っています。
2.現場経験をしっかり持っている教授の場合、「リアルなコメント」がきけて面白いことが多い。
もちろん、研究者としてやってきた人でも面白い授業をする人がたくさんいます。ただ、個人的には、実際のビジネス、特に現場に近いところにいた人の場合、「つぼ」を押さえていたり、考え方が共感できる(すっと入ってくる)ような気がします。
今回の教授は、UCバークレーの教授でもありながら、他の組織でもビジネスパーソンとして働いているドクターで、現場の感覚とアカデミックの視点を持ち合わせた人でした(とても切れ者で、かついい人で面白かったです・・・先生が忙しすぎてスケジュール調整にてこずったのが難でしたが、まあそんなのかわいいものです)。なので、議論していてとても勉強になることが多かったです。
特に「質」についての議論は色々な理由で「答えがない」ものであるがゆえに、人との議論を深めることは本当に自分にとって、「気づかなかった(あるいは忘れていた)落とし穴」的ポイントについて考えさせてくれたり、共感できる問題のりこえかたであったりと、個人的にはかゆいところに手が届く感じがとても好きでした。
正直、この授業のおかげで、前の秋学期、私の週末はかなりやられてましたが、多分卒業しても記憶に残る授業の5本の指に入ると思います。Nativeレベルからは話しも書きも遠い私に丁寧に付き合ってくれて、いい刺激をくれた先生には感謝しているのです。